駅前から続く大通りの古本屋には、美術関
係の本がたくさんあるので、時々冷やかす。
先週の土曜日も店頭の図録を眺めていた
ところ、店の奥から店主殿の妙にテンション
の高い話し声がする。
話している相手は若い女性で、どうやら旅の
途中に立ち寄ったようす。
「どんな仕事をしているの?」
「派遣なんです。今、いろいろ考えたいこと
があって何か人生の転機になるような本を
探しているんです。おすすめはありますか?」
「う~ん、それは困ったなあ」
などと答えつつも、おじさん嬉しそう。
本のタイトルにつられて奥までいったところで
「奥さんもいかが?」
と紙コップのコーヒーをすすめられた。
「これがまたピッタリなのよ。食べてみて」
と差し出されたのがかりん糖の袋。
「たくさんじゃなくて、ちょこっとかじるのが余計うまい」
思わず小さいかけらの方を掴みなおす…。
若い女性客にコーヒーを淹れてあげた手前、私を無視するわけにもいかず
声をかけたのだろうが、それにしてもよく話す。
おじさんなんだか舞い上がっているな~と、おかしかった。
さて、おじさん、この若い女性にどんな本をすすめただろう。
気になりながら、かりん糖でさらに強烈になったすきっ腹を
抱えて「うどん市場」にとびこんだ。
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