2006年6月27日火曜日

ガレとトケイソウ


5月にトークした「ガレとドーム兄弟展」の展示作品の中に、「トケイソウ」という国宝級のガレの作品があった。マルケトリ(ガラス象嵌)が施された、ためいきの出るような美しい作品で、案内しながら嬉しかった。

モチーフに使われているのが、トケイソウ。隣家の塀に繁茂しているこの花は、実に奇妙な雌しべと雄しべをもっている。日本人にはまさに長針と短針だが、キリスト教世界のヨーロッパ人にとってはキリストの磔刑を想起させるらしい。雌しべと雄しべが木槌と釘だということらしいのだがこれは「パッシフローラ」(直訳すると情熱の花、もしくは受難の花)世界観、宗教観の違いが花の名前にも色濃く出ていておもしろい。

「放ったらかしなのよ」と隣人が笑う中、トケイソウはたっぷりの日差しと雨をうけて、人間界の思惑を知ってか知らずか、のびのびと繁茂し、ことしも陽気に咲いている。

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