2008年5月21日水曜日

『楽園』

私にしてはハイスピードで読了。しばし放心状態。 気持ちを切り替えようと、飼い犬を誘って散歩。 どうやら私はこの小説の主人公、前畑滋子になっているらしく 後ろから、等や敏子が、そして茜も誠子も、田んぼのあぜに一緒についてくる。 こりゃ、しばらくは消えてくれそうもないなぁ。

秋津という刑事は『模倣犯』(未読)で滋子とからんだらしい。 『楽園』ではその妻が、フットワークのいい密偵のような役割を果たした。 滋子が妻と初めてあったときの文章がこれ。 ー秋津とは何ら疚(やま)しい間柄ではないのに、滋子は妙にドギマギしたー すごくないです?この一文で秋津と滋子の心の結びつきを表現している。

別なお話のようにポンと出てくる「断章」の断片が終章に向かってピタッとはまり やっと辿り着いたとき、涙がとまらなかった。 ティッシュで鼻をかみながら、こう思いました。 宮部みゆき殿は神様のようなお仕事をなさる。

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